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zoom RSS 007 カジノロワイヤル

<<   作成日時 : 2006/12/01 21:48   >>

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 宣伝文句には「ジェームズボンドが007になるまでの物語」とあったように思うが、これは「007がジェームズボンドと名乗るまでの物語」なのではないだろうか。

 俺にとってはじめての007は小学生のとき見た「私を愛したスパイ」だった。そのころ「女王陛下の007」は駄作というのがもっぱらの評判で、きちんと評価してるのは増淵健だけだった。恋愛物との噂もあったし、つまらなかったらどうしようと思いながら名画座で見たら、予想に反する素晴らしい出来で、なぜみんなこれを貶すのだろうと不思議に思ったものだ。だから「女王陛下の007」こそが、俺にとってボンド映画の、いやアクション映画の、いや映画の原点なのだ。そして八〇年代にジョングレン監督が撮った数本は傑作だったと思う。そんなわけで、ピアースブロスナンが演じた作品はあまりいい印象がなく(ブロスナンのせいではないが)、なにより長たらしいカタカナの邦題が覚えづらい(「007危機一発」との題名を造語した水野晴郎はやはり偉大だった)。ただ、シリーズの約束事を踏み破った「ワールドイズノットイナフ」が面白かったぐらいか。前作なんか、北朝鮮の将軍の息子がなぜか英国人になっているという設定に、こりゃ吉田戦車の『伝染るんです。』じゃねえか、とツッコミたくなるのだった。
 そういう点で、このたびの「カジノロワイヤル」は、「女王陛下の007」に近い匂いの作品だ。プーチン大統領とスチーブマックイーンをかけあわせたようなダニエルクレイグも決して悪くない。だけれども、これまでにない人間的なボンド、などと過大に評価したくない感じもする。チモシーダルトンが演じたボンドも充分すぎるほどの非情さをたたえたものだったし、コネリーもムーアもブロスナンも、それぞれの人間味を持っていたはず。というわけで、この作品を認めるか認めないかは、かなり微妙なところになる。のっけからシリーズを意識的に離れようとした、あるいは連続性を断ち切るかのような作り方に拒絶反応を示す人もいるのではないか。
 俺の場合は、違和感を覚えつつも、序盤のアクションに圧倒され、のめりこんだ。猿のようなすさまじい身のこなしで追跡から逃げまわる悪役がすごい。なんでも演じたセバスチャンフォーカンは、「アルティメット」に出演したデビッドベルとともに肉体表現バルクールを創始した人物なのだそうで、この場面だけで出番が終わってしまうのがもったいない。とくに建築現場の起重機でのアクションは爽快で、高所活劇場面としては史上最高といっていい迫力。でもその後ここを凌ぐ見せ場は現れず、本来ならこれだけの場面は最後の絶頂にとっておきたいし、それだけにこの場の処理には不満が残るし、敵役のほうが目立ってしまうのも疑問だし、なにより問題なのは、ここでボンドは一般人と思われる現場作業員を転落死(?)させているのだ。いくら殺しの番号を持っていたとしても、これはいただけない。どうやら製作者どもは、白人はアフリカ人ならいくら殺してもかまわないと思っているようだ。全体的に殺戮場面も多すぎる。「消されたライセンス」の暴力描写が残酷だと批判があり、ゆえにこの傑作が不当に評価されているのを製作陣は忘れたのか。ダルトンが降板したのは、製作者のバーバラブロッコリを食べちゃったからだ、とどこかで読んだことあるけど、ダルトンにたいする製作陣の扱いを考えると、信憑性ありそうだ。
 つづく空港での車を使った格闘場面もスピード感あふれ、かなりの迫力なのだけど、とりあえずアクションはここで打ち止め。まあそのあとつづく博打の場面もなかなか面白いし、恋愛から悲劇の結末へ至る脚本は巧妙で、原作を読んでいてもなお唸らされるもの。
 とはいえ、アクションをこそ見たいと願う俺にとっては、はじめが凄すぎただけに、不満がある。しかもこのあまりに切ない最後はどうだろう。「女王陛下の007」は演じたジョージレイゼンビーが(ピーターハント監督も)一作だけで終わってしまったからこそ、現在でも強い印象を刻みこむので、次作「ダイヤモンドは永遠に」はまるっきりあとをひかないガラっと変わった作風になってしまったけれど、今後クレイグはどんなボンドになるのだろう。いま金を貰って褒め讃えてる連中は、もし興行成績が悪かったら、てのひら返したように、この脚本はシリーズの自殺行為だ、なんていいかねない。見応え充分の秀作だが、いまさら悲しい女の物語を007映画でやる必要があるのかという疑問が湧き、アクション映画としての物足りなさも残る、という点では、「MiV」とかジャッキーチェンの「香港国際警察」にも近い。
 悲劇より活劇を!

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007カジノ・ロワイヤル★映画
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徒然なるサムディ
2006/12/04 03:03
新ジェームス・ボンドってボンドっぽくないよねぇ?
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2006/12/05 00:31
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「007 カジノ・ロワイヤル」★★★★オススメ ダニエル・クレイグ 、 エヴァ・グリーン 、 マッツ・ミケルセン 、 ジュディ・デンチ出演 マーティン・キャンベル 監督、2006年、アメリカ イギリス ...続きを見る
soramove
2006/12/11 22:17
007 / カジノ・ロワイヤル 07167
007 / カジノ・ロワイヤル CASINO ROYALE 2006年   マーティン・キャンベル 監督ダニエル・クレイグ エヴァ・グリーン マッツ・ミケルセン ジュディ・デンチ ジャンカルロ・ジャンニーニ ジェフリー・ライト カテリーナ・ムリノ ジェームズ・ボンドといえば... ...続きを見る
猫姫じゃ
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 『最初の任務は、自分の愛を殺すこと。』  コチラの「007 カジノ・ロワイヤル」は、007シリーズとしては21作目、そして6代目ジェームズ・ボンドのダニエル・クレイグのお披露目となるワケなんですが、先週12/1公開となりましたね。既にご覧の方も多いかと思いますが、.... ...続きを見る
☆彡映画鑑賞日記☆彡
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英国秘密情報部の諜報員ジェームズ・ボンドの縦横無尽な活躍を描くシリーズ21作目となるスパイ・アクション・ムービー「007カジノ・ロワイヤル」(2006年、米英独など、144分、コロンビア映画配給)。この映画は、6代目となる新生ボンドのアクションやギャンブル、ロマンスなどを満載した超娯楽大作だ。ボンド役には、「ミュンヘン」のダニエル・クレイグが抜擢。監督は同シリーズ「ゴールデンアイ」や、「マスク・オブ・ゾロ」のマーティン・キャンベル。本作は60年代のボンド映画とは大きく異なり、ストーリーの面... ...続きを見る
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは!
金魚のコメ、ここに入れますね。
だって、あの記事に入れられないんだもん。
黒いのは手目金でも、アルビノと赤いのは、頂天眼?
猫姫少佐現品限り
URL
2007/08/20 03:22
申し訳ありません。ここ二ヶ月ほどの記事が、なぜかコメント受付停止になっていました。直しておいたので、また気になることあったら書込んでください。写真が切れてて、映りが悪いのですが、みんな出目金です。黒いのはうちで生まれました。
闘いうどん
2007/08/20 11:55

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