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zoom RSS DULL-COLORED POP「セシウムベリージャム」

<<   作成日時 : 2007/10/16 06:25   >>

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 アリスフェスティバルで上演されたDULL-COLORED POP「Caesiumberry Jam(セシウムベリージャム)」は非常に見応えのある舞台でした。

 舞台中央は公園の砂場みたいになっていて、上手前にはちいさな机と椅子。机の上には電灯と手帳が置かれている。男が現われ、腰掛け、おくれて現われたもう一人の男と話しはじめる。彼らが最初に出会ったのは、1991年のことらしい。ふたりは手帳に書かれた記録をもとに回想してゆく。写真のネガを灯りにかざすと、物語の舞台になる山村が映写される。
 おいおいあきらかになってくることなのだが、机の男は日本人の写真家で、異国で過去に起きた原発事故の被害地をいくどか取材しているらしい。もう一人の男、エストラゴンは貧しい狩人だったが、この地に家畜などがいたらただちに射殺するよう依頼され、山村へとやってきたのだ。誰もいないはずの土地に、ジャムを食べている少年とも少女ともつかない子を発見する。その右手には指が六本ある。近くに住む女リューダのつくるジャムを食べている。女はただひとり、誰も家に入れることなく、生活している。村にはまだわずかながら農民が残っており、そのなかにはエストラゴンの双子の弟ウラジミールもいた。学校もあり、事故後に生まれた子が楽しそうに遊んでいる。みな慎ましく平和に幸福に、暮らしている。写真家の取材に応じ、村長の妻はその幸福を語る。
 ここらは先生と生徒による小気味よい笑いもあり、軽く進んでゆく。子供の吹くシャボン玉や、猟人の吐くたばこの煙が舞台にうつくしく漂う。だが村長と妻は見えない恐怖から目をそらし、つとめて隠そうとしているようだ。ただ彼らの娘だけが、ことあるごとに危機を表白している。そして村はずれの女リューダは舞台奥の椅子に腰掛けたまま、じっと佇んでいる。
 流れが一気に変わるのは、子供が拾ってきたウサギの頭を村長が切り落とす場面からだ。見えなかった恐怖が顕在化し、舞台は重苦しい雰囲気につつまれ、幸福は絶望となり、つぎつぎと悲劇が襲う。村人は姿を消してゆく。最後にただひとり残ったリューダは、写真家に物語る、なぜ事故現場から60キロも離れたこの村に、放射能がバラまかれたのかを。
 ここで放射能がまるで伝染病のように描かれているのではないかと疑問に思ったのだが、俺はこうした原発事故や放射能汚染については何も知らないからどうともいえない。じっさいこうしたことも起こりうるのかもしれない。しかし台本・演出・アニメーションなどもつかった装置・演技、どれをとってもかなりの出来栄。環境や政治に思いをはせることもでき、メロドラマに泣くこともでき、ギャグに笑うこともできる。次回作もみてみたい。

おまけ
  トウモロコシの唄
 トウモロコシが泣いている
 《なぜ埋めたのか》と

 土の中のそのすすり泣き
 カラスが聞いて
 掘って取り出し カラスが食べた
 
 そこで私は言うのです
 《三日間は泣いちゃいかん》と
 そうしたら おくれるのです
 芽が出て大きな生涯を

 アーイ アーイ 種よ 種よ
 アーイ アーイ 泣くな 泣くな
 そうすれば
 おまえは芽になるだろう
――メキシコ・インディオ古謡『チョンタルの詩』荻田政之助・高野太郎編訳より

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
この舞台
かなり凝った演出なのですね。

伝えたい内容は
『生きること』かな。

丁寧な解説

闘いうどんさまの
感動の様子が伝わってきました(・-・*)
ちえんだ
2007/10/17 13:08
コメントありがとうございます。さいきんの小劇場演劇はたいくつなのが多いけど、ここは充分満足できました。
闘いうどん
2007/10/17 16:29
こんにちはー。
たくさんの記事を、ふむふむって感じで読ませて頂きましたです。
このお芝居、すっごく面白そうですね。まず設定がよいよい。

あ、突然ですが、わたし、こないだ某教室でお会いした者です。
ではでは(*^ー゚)/~~
にこにこ。
2007/11/22 17:43
チンパンジーと闘うあのお方でしょうか?
闘いうどん
2007/11/28 17:15

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