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zoom RSS 「黄金の日日」を観る日日

<<   作成日時 : 2010/03/10 00:44   >>

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 愛ちゃんが不安と腹痛を訴えて早稲田を中退するらしい。(いささか情報錯乱)

 と、いうわけで、昨年末から観つづけてきた大河ドラマ「黄金の日日」DVDをやっと最終話まで観終わった。
 いやはや面白かった。

 原作は城山三郎となっているが、ウキペデアによるとNHKスタッフと城山と脚本家の市川森一が共同作業で物語を練りあげたとのこと。どうりで原作は薄っぺらでちっとも面白くなく、城山三郎自身もこの小説にはほとんど愛着なかったみたいだ。文庫も絶版になってるし。

 市川染五郎(現・松本幸四郎)扮する呂宋助左衛門が主人公なのだが、物語が助左と、杉谷善住坊・石川五右衛門の友情を軸に展開されるのがミソ。なにしろみんなわずかな記録しか残されてない埋もれた人物だけに、自由に想像を飛翔させることができる。かなり史実を歪めているから、小谷野敦あたりは点が辛いかと思っていたが、けっこう好意的に評価していた(『大河ドラマ入門』)。前半は善住坊、終盤は五右衛門との関わりが重点的に描かれている。
 「財産とは窃盗である」なんて言葉を思いあわせれば、豪商と大泥棒の関係は納得できるが、杉谷善住坊とか、信長マニアしか知らない人物をなぜ取り上げたのか、その発想には唸らされる。しかも信長狙撃に失敗して処刑された鉄砲の名手を、ゴルゴ13みたいな冷酷な殺し屋ではなく、その名前から連想したのか、心やさしい気の小さい、愛すべき人物として造形し、ハマリ役の川谷拓三にはつい感情移入してしまい、その最期の一言には「そうきたか!」と轟き、感動。涙を流さずにはいられない。
 根津甚八の五右衛門は、醒めたようでいて情熱的、身勝手ながら友情に厚く、手癖の悪い銭の亡者なのになぜか忠義者という複雑な性格で、脚本家による人物造形の迷いが窺われるほど前半では理解不可能な人間なのだが、後半に至って義賊となって活躍する。その最期は迫力満点。

 琉球へ行くはずの三人がルソンに漂流してしまうという展開がガゼン面白い。沖縄とフィリピンじゃずいぶん距離がある、などと揚げ足をとってはいけない。三人の心が結びつき、現地の人人とも心を通わせ、助左たちのなかでルソンでの生活が平和で幸福な黄金の日日となって焼きつけられる。助左が毎回かならずなんらかの歴史上の戦乱に巻き込まれるパターンよりは、もっとルソンでの冒険を描いてほしかったと惜しまれるほど。
 部族の長の娘、マリキッドがかわいい。プリンセスアキノという少女が演じているのだが、あるサイトでは彼女はアキノ大統領の娘と書かれていた。たしかにコラソンアキノの娘は女優になっているのだが、はたして同一人物なのだろうか?

 帰国してから善住坊をかくまうのが燈台守りのお仙で、演じる李礼仙(現・麗仙)は勅使河原宏監督の映画「サマーソルジャー」でも脱走兵を匿う役だったのを思い出す。じつに上手い。唐十郎もダンテの詩を口誦みながら帆柱から身を躍らせて海中に没するわけのわからない悪徳商人で怪演。考えてみれば、歌舞伎役者、アングラ役者、映画スターに大部屋役者、宝塚のトップ、能役者、新劇界の重鎮と顔を揃えた贅沢な配役を楽しめるのも、むかしの大河ドラマならではだろう。

 助左衛門と敵対する豊臣秀吉の緒形拳もすごい。前半の朴訥な武将から、権力に憑かれた独裁者、晩年の恍惚老をみごとに演じ分ける。おだやかでさみしげな表情を浮かべた鶴田浩二扮する千利休との対決は見応え充分。そこへゆくと、やはり敵役になる今井宗薫役の林隆三はかなり印象が薄い。まあ専制的な父親への反抗から自暴自棄な行動に走っているので、根っからの悪人ではないという役どころではあるけれど。

 助左と終生相慕いつつも結ばれることない美緒(栗原小巻)は、宗薫の妻でありながら処女性を保つ聖母のごとき存在といえる。

 こんな歴史物語を俺も書いてみたいものだ。



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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。

歴史モノは、登場人物や、歴史そのものの歪曲があり、個人的にはそれが好きになれません。
それが無いと面白くならないのなら、それは面白くないと言っているようなものなので。
毒舌、すみません。
月恋花火'09
2010/03/10 22:43
すみません、言ってる意味がよくわからん。
闘いうどん
2010/03/10 23:10
ビッグコミックでゴルゴ13をみたら善住坊がでてきてびっくり
ポコチン太郎
2010/03/11 23:01
素晴らしい記事を読ませていただき感動です!
大変詳しく書いてあって、また幾度も『そう!そう!!』と同感しながら読ませていただきました!!
私はこの番組が大好きでした。
夏目雅子さん扮するモニカと根津甚八さんのゴエモンの最後の場面、
あの頃はビデオがなかったので再放送の土曜日にカセットテープに録音して何度も聞きました。
唐十郎の場面も録音しましたよ!
黄金の日々は初めてまともに見た大河ドラマでした。
数年後マニラに旅行したとき
黄金の日々のNHKが出していたドラマ本を持って行きました。
なんとツアーガイドさんがその本に載っていた現地の協力者で
自分の写真が載ってたことを知らずびっくりされていました!!
私にとってもマニラ旅行は黄金の日々となりました。
懐かしい思い出です。
Missy
2012/05/26 11:12
コメント ありがとうございます。黄金の日日というのは、堺のことなのですが、ドラマでは信長登場以後の、没落してからの堺が描かれているため、題名の意味が判然としないのですが、あれはルソンでの生活こそがほんとうの黄金の日日だったということなのでしょうね。堺のようにお金があふれているわけではないのに、満ち足りた生活を送る人人こそが、黄金の日日を過ごしているのだというメッセージではないかと思っています。むかしの役者陣にくらべると、現在の大河ドラマは人気タレントを出しているだけの、薄っぺらいもののように思います。
闘いうどん
2012/05/26 13:06
本当にそうですね。
言われてみてはっとしました。
そういえば堺は炎上しましたが
商人である主人公がお金儲けよりルソンでの日々を黄金の日々と思ったという象徴的な出来事ですね!
それにあの豪華な役者さんたち!!かなり贅沢な気分になりますね。
本当に演技も素晴らしかったです。
島田陽子さんもステキでしたね〜!
川谷拓三さんも大好きな役者さんでした!
Missy
2012/05/26 13:39

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