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zoom RSS 芸術小説 超探偵・高橋節夫の事件簿1

<<   作成日時 : 2017/06/21 23:22   >>

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   1超探偵・高橋節夫登場

 ほんとはただの使いっぱしりのくせに、俺は芝居で飯を食ってるとか、ロンドンブーツは俺が育てたとか、俺は芝居が上手いとか、嘘ばかりつきまくり、いざ本番となると緊張のあまり舞台でひたすら絶叫し、全身から異常波をまきちらしていばりちらし、公演を打つなら見せ金を用意しろとか命令し、まっすぐ人の目を見てしゃべり、女子高生に付け文し、ピチピチのスラックスを履き、禿げかかった気持ちの悪い下呂綿痢魔逆津がポコチンを切り取られて殺されたところで、誰も悲しむ者などなかったが、下呂綿痢を激しく憎む、大塚防虫と江梨三十郎というふたりの容疑者のうち、大塚防虫が犯行時刻に現場付近をブリーフ一枚でウロウロしていたとの目撃証言があり、また大塚が二分間噛んだガムも発見され、逮捕されようとしていたまさにそのとき、超探偵・高橋節夫は言った。「彼を救わなくちゃいけない」と。
「彼って、誰だい?」と私。
「大塚防虫に決まってるじゃないか」
「でも、なぜ…」と言いかけた私をさえぎるように、高橋節夫は言った。
「こんな話がある。ある医者が性欲の激しい男を実験台にし、こう命じたのだ。『射精をしなさい』と。男はすぐ言うことを聞き、射精をした。そこで医者は男にたまきん切除手術を施し、ふたたび命じた。『射精をしなさい』と。ところが、男は言うことを聞かず、射精を行なわなんだ。そこで医者はつぎのような結論を下した。『この男の聴覚はたまきんにある』と」
「なるほど、美しい話だ」
「美しいといえば金のシャチホコだが、君は金のシャチホコの耳がどこにあるか、知っているかい?」
「いいや、ぜんぜん見当もつかないよ」
「いいかね、われわれはよく、聞き耳を立てるとか、耳をそばだてるとかいうね。しかるに金のシャチホコは尻尾を立てている。すなわち、シャチホコの耳は尻尾だ」
「チョッチョリーナー!」
 私は叫んでいた。高橋節夫は、演繹法によって、これまで誰にも知られていなかった、シャチホコの耳を発見したのだ。
「これが事件のすべてだよ。これで下呂綿痢魔逆津殺害事件は、解決したのだ」
「チョ ッチョリーーナーーーッ!!」
 私は喉が裂けんばかりに絶叫し、怒号し、咆哮し、雄叫びをあげていた。私の嬉しい悲鳴のなかには、「いったいどういうことなんだ、早く説明してくれ」という意味が籠められていた。
 高橋節夫は明敏にそれを察し、説明を始めた。
「いいかい、これまでの二つの話をつなぐもの、それは耳だ。男の耳はたまきんにあり、シャチホコの耳は尻尾にある。
  たまきん・耳・尻尾
 ここまで鍵が揃えば、事件は明瞭になる。この三つの単語から、母音を抽出してみよう。すると、
  アアイ(ン)・イイ・イゥオ
となる。抽出された母音を並べると、
  ア・イ・ウ・オ
となる。もうわかったろう」
「つまり、エがない…」
「犯人は江梨だ!」
 われわれはすぐさま警察に赴き、事情を説明した。江梨は逮捕され、死刑になった。この手柄により警視総監賞を受けてのち、高橋節夫は言ったものだ。
「まったく警察は無能で困るよ。物的証拠がないかぎり、なにもできんのだからね。そこへゆくと、僕には、すべての手がかりが、映像で送られてくるのだ」
 これで、この話は、おしまいです。

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