中国の児童演劇
中国児童青少年演劇優秀舞台公演で、国立中国児童芸術劇院「おたまじゃくしの大冒険」「十二ヶ月」をみたよ。
子供は嫌いなのだが児童劇は好きでよくみる。何年か前は毎月渋谷の児童会館で入場無料の定期公演をみてたほどだ。これが意外と工夫を凝らしたもので、哲学かぶれのエセ前衛劇などよりはるかに実験性に富み、内容も深く、そこらの小劇団より役者や台本の質も高い。このたびは中国から四つの劇団が来日し、影絵や現代青春劇など五つの劇を上演したのだが、残念ながら上記二つしかみられなかった。
まず「おたまじゃくしの大冒険」(前進座劇場)。お母さんをさがすおたまじゃくしのお話は水墨画アニメでみたことがあって、原作はたぶん同じと思うけど、ずいぶん違ったものになっている。
いびき君にあくびちゃんという少年少女が釣りをして、おたまじゃくしを釣りあげる。おたまじゃくしがおまじないを唱えると、ふたりは水中にひきずりこまれて亀と魚に変身している。おたまじゃくしはお母さんをさがすためふたりをつれておじいさん蟹が園長している幼稚園を訪れる。そこで暴れん坊の雷魚とケンカしそうになるけども、疾風のように現れたお母さん蛙に助けられる。
というわけで、はじまってすぐにあっさりお母さんは見つかってしまうのだ。けれども話はそこから。めぐりあった全身緑のお母さんに、黒づくめのおたまじゃくしはなじめず、ママと呼ぶことなく家出し、母親を亡くした雷魚いっしょにと不良の道に進み、幼稚園を牛耳ろうとする。……
どこから褒めようか迷ってしまうほどすてきな舞台だったけど(ひとつだけ文句をつけると字幕が出たり出なかったりするのが困る)、とりあえず水の生き物を模した衣裳。とくに蟹の足がじつにうまくできている。だんだん年老いて変わってゆくお母さん蛙と、成長してゆくおたまじゃくしも見事。人民帽みたいなカエルの帽子がほしい。それから生き物たちが乗るちいさな自動車や、移動する橋や水草や蓮などの装置もすばらしい。照明・映像・音響も完成度高く、役者の身のこなしや、親子の愛を切なく描いた脚本も申し分ない。農村でカエルは害虫を食べてくれる田圃の守り神みたいに扱われているのかもしれない。そういえば俺の通ってた小中学校の池にもたくさんのヒキガエルがいたけれど、もう絶滅してしまったろうか。今度は人間がカエルを守らなければならないのだ。
そうとうな費用がかかっている劇だと思うけど、夜の公演だったせいもあるのか、観客はいまひとつすくなめ。これはあまりにもったいない。子供だけじゃなく、大人にももっとみてもらいたい作品だ。大人だけで児童劇を見る会みたいなものを企画して、その魅力を伝えてほしいと願うものだ。
「十二ヶ月」(シアター1010)は中国児童演劇の最高峰と呼ばれる舞台なのだそうだ。いつもはこういう芝居芝居したのは極力みないことにしてるのだけど、なぜこれをみたかといえば、映画「黄色い大地」の薛白が出演してるからなのだ。あの映画の、愁いをふくんだ少女は二十年以上経っても忘れられず、陳凱歌監督作品は、「さらばわが愛」なんかより「黄色い大地」「子供たちの王様」の映像のほうがすばらしかったと断言してよい。そして薛白はその後「少女香雪」という叙情溢れる映画に出演し、俺的にはこっちのほうが彼女のいっそうの魅力をみせていてほんとうにかわいらしく、感動したのだが、この映画はビデオもDVDも出ていなかったはずだ。
とまあ、そんなこんなでみたのだけど、あんまり面白くなかった。やっぱ俺はかぶりものとかつくりものじゃないとダメなのだ。肝心の薛白は(もう四十半ばぐらいらしいが)西洋人の役ってこともあって、こっちはもちろん中国の田舎の女の子という印象しかないから、あのかわいくて物静かな娘と、金髪と厚化粧で声をはりあげ身軽に踊る娘が、はたして同一人物なのか、と戸惑ってしまったのだ。ちょっともにゃもにゃ歌人に似ていた。「少女香雪」のDVD出してくれないものか。
と、いうわけで、バカが多く、腹が立つ。今日も正義は、私によって守られた。
子供は嫌いなのだが児童劇は好きでよくみる。何年か前は毎月渋谷の児童会館で入場無料の定期公演をみてたほどだ。これが意外と工夫を凝らしたもので、哲学かぶれのエセ前衛劇などよりはるかに実験性に富み、内容も深く、そこらの小劇団より役者や台本の質も高い。このたびは中国から四つの劇団が来日し、影絵や現代青春劇など五つの劇を上演したのだが、残念ながら上記二つしかみられなかった。
まず「おたまじゃくしの大冒険」(前進座劇場)。お母さんをさがすおたまじゃくしのお話は水墨画アニメでみたことがあって、原作はたぶん同じと思うけど、ずいぶん違ったものになっている。
いびき君にあくびちゃんという少年少女が釣りをして、おたまじゃくしを釣りあげる。おたまじゃくしがおまじないを唱えると、ふたりは水中にひきずりこまれて亀と魚に変身している。おたまじゃくしはお母さんをさがすためふたりをつれておじいさん蟹が園長している幼稚園を訪れる。そこで暴れん坊の雷魚とケンカしそうになるけども、疾風のように現れたお母さん蛙に助けられる。
というわけで、はじまってすぐにあっさりお母さんは見つかってしまうのだ。けれども話はそこから。めぐりあった全身緑のお母さんに、黒づくめのおたまじゃくしはなじめず、ママと呼ぶことなく家出し、母親を亡くした雷魚いっしょにと不良の道に進み、幼稚園を牛耳ろうとする。……
どこから褒めようか迷ってしまうほどすてきな舞台だったけど(ひとつだけ文句をつけると字幕が出たり出なかったりするのが困る)、とりあえず水の生き物を模した衣裳。とくに蟹の足がじつにうまくできている。だんだん年老いて変わってゆくお母さん蛙と、成長してゆくおたまじゃくしも見事。人民帽みたいなカエルの帽子がほしい。それから生き物たちが乗るちいさな自動車や、移動する橋や水草や蓮などの装置もすばらしい。照明・映像・音響も完成度高く、役者の身のこなしや、親子の愛を切なく描いた脚本も申し分ない。農村でカエルは害虫を食べてくれる田圃の守り神みたいに扱われているのかもしれない。そういえば俺の通ってた小中学校の池にもたくさんのヒキガエルがいたけれど、もう絶滅してしまったろうか。今度は人間がカエルを守らなければならないのだ。
そうとうな費用がかかっている劇だと思うけど、夜の公演だったせいもあるのか、観客はいまひとつすくなめ。これはあまりにもったいない。子供だけじゃなく、大人にももっとみてもらいたい作品だ。大人だけで児童劇を見る会みたいなものを企画して、その魅力を伝えてほしいと願うものだ。
「十二ヶ月」(シアター1010)は中国児童演劇の最高峰と呼ばれる舞台なのだそうだ。いつもはこういう芝居芝居したのは極力みないことにしてるのだけど、なぜこれをみたかといえば、映画「黄色い大地」の薛白が出演してるからなのだ。あの映画の、愁いをふくんだ少女は二十年以上経っても忘れられず、陳凱歌監督作品は、「さらばわが愛」なんかより「黄色い大地」「子供たちの王様」の映像のほうがすばらしかったと断言してよい。そして薛白はその後「少女香雪」という叙情溢れる映画に出演し、俺的にはこっちのほうが彼女のいっそうの魅力をみせていてほんとうにかわいらしく、感動したのだが、この映画はビデオもDVDも出ていなかったはずだ。
とまあ、そんなこんなでみたのだけど、あんまり面白くなかった。やっぱ俺はかぶりものとかつくりものじゃないとダメなのだ。肝心の薛白は(もう四十半ばぐらいらしいが)西洋人の役ってこともあって、こっちはもちろん中国の田舎の女の子という印象しかないから、あのかわいくて物静かな娘と、金髪と厚化粧で声をはりあげ身軽に踊る娘が、はたして同一人物なのか、と戸惑ってしまったのだ。ちょっともにゃもにゃ歌人に似ていた。「少女香雪」のDVD出してくれないものか。
と、いうわけで、バカが多く、腹が立つ。今日も正義は、私によって守られた。
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