前進座「法然と親鸞」

 青山劇場で、法然を中村梅之助、親鸞を嵐圭史が演ずる、前進座「法然と親鸞」を観たよ。

 ま、しょうじきいってしまうと、退屈ではなかったかわりに面白くもない、という感じ。劇の展開に欠けているのだ。二十代の法然を若手の中嶋宏幸が演じていて、四十代からは梅之助で、真の教えに目覚め、旧仏教の僧侶たちと宗論を行なうのだが、経典名など仏教語が頻出する場面は、もはや衰えが隠せず台詞のおぼつかなくなった梅之助ではなく、おもいきって中嶋に任せたほうがよかったのではないか。こうなると梅雀の退団が惜しまれる。とはいえ、男女貴賎をわかたず民衆を救いに導く慈愛に満ちた老年の法然はさすがに老優でなければできない味がある。
 法然と親鸞の生きた時代、貴族から武家へ政権が移行した時代というと、どうしても政権交代したばかりの現在を思い起こさずにはいられない。特権階級に独占され、煩瑣な形而上学となりはてた仏教を、念仏というかたちに純化させ、かわらぬ戦乱と貧困にあえぐ民衆のためにひろめた法然と親鸞のような人が、現在も存在しうるだろうか。弱者の切り捨てから、さいげんもないバラまきへ転換しているだけでは、この病める世は救われまい。いかに思想のない世界かを痛感させられる。
 十五年前、いっしょに芝居したことある子がわりとおいしい役で出ていた。十五年の歳月は長い。あるものは詐欺師になり(てか、元から詐欺師か)、あるものは政治家になり、そしてわたしは正義の守り手になった。

 最近見たDVD
 「人間の條件 第4部戦雲編」
 原作でもっとも感動的な、主人公が初年兵と心をひとつにして古兵と対決する場面がなぜか描かれていない。この巻はほかより上映時間が短いから、あるいは撮影はされたが、なんらかの理由で削除されたのかもしれない。とにかく、この部分がないから感動は半減、どころか全滅でした。

 「爆笑オンエアバトル タカアンドトシ」
 初登場時のタカの顔がいまとまったく違うのに衝撃。時間とともに、まるでマイケルジャクソン並の変貌を遂げてゆく。しかし漫才の実力はそのころから変わらず素晴らしいものでした。

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  • 『法然と親鸞』(青山劇場)

    Excerpt: 昨日は、例によって、友人ゲットの無料チケットで、青山劇場の前進座公演を見てきました。3時半会場のはずが、10分ほど遅れ、さらに、ロビーで待たされました。でも、時間通りに4時に始まったのかなぁ?そう.. Weblog: kuemama。の<ウェブリブログのへや> racked: 2009-12-02 15:51