犬丸治『「菅原伝授手習鑑」精読』

 ヒトラー暗殺計画が成功していたら、世界大戦は防げた(たぶん)。おなじように、野田佳彦がいまこの世から消え去れば、日本は国力を取り戻すだろう。

 それにしても、なぜ野田の気色悪い糞尿顔が、モザイクもかからずテレビに映るのだろう。てめえが出演するやらせ番組に、いくら機密費を払っているのだろうか。あまりにも醜怪。
 そういやそのむかし、二十五年前に、国家機密法に反対する集会で三遊亭円丈が、中曽根のハゲを国家機密にする、なんて落語を演っていた。一緒に講演をした森村誠一は、国家機密法・売上税・防衛予算GNP1%枠突破を、右傾化の危険と主張していた。状況はいまとかなり似ているが、人権擁護法案は左傾化の危機を示すものとして語られる。あるいは野田を批判しただけで死刑、という世の中になるのだろうか。あいつならやりかねん。あのバカをぶっ潰すためには、もはや小沢と橋下が手を組む以外にない。

 ところで橋下徹は、文楽の演者を公務員化しているとツイッターで批判していた。橋下のいうことはとうてい正しいとは思えないけど、しょうじき、国の保護を受けなければ生き延びられない芸能など滅んでしまったほうがいいのではないかと思うことはある。監視と処罰で強制しなければ歌われない国歌が滅んでかまわないように。

 さて、犬丸治『「菅原伝授手習鑑」精読』を読む。
 私は希臘悲劇にもセックスピアーにもチエホフにも関心を持たないどころか読みもしないものだが、「菅原伝授手習鑑」は世界で最も優れた劇作品だと思っている。かつて短い寺子屋論も書いたし、菅原全体についてもそのうち論じたいと思っているのだ。そんなだから、この本にも興味津津で、珍しく新刊書を買い求めたのだ。
 けど、はっきりいって、あんまり面白くなかった。精読がほんらいの目的である以上、妄想を駆使した評論(丸谷才一『忠臣蔵とは何か』のような)とは違った内容になるのは致し方ないとはいえ、これなら武智鉄二や森山重雄や渡辺保の菅原論のほうがはるかに面白くて読み応えあるのだ。
 いちおう、登場人物の三つ子の兄弟を、天皇の棺を担ぐ「八瀬童子」だと解釈したところが肝なのだが、こっちが天皇に関心がないせいか、だからどうなの? という感想しか湧いてこない。それほど「天皇」がこの劇の重要な主題だろうか。というのも、自分がこの劇についてまったく別の見方をしているからなんだけど、やはりこれについてはいつか書かなければ、と誓いを新たにする。
 著者は「寺子屋」から派生し、一般に愚劇とされている「松王下屋敷」が、幕末の、尊王思想が台頭していた時期の作という指摘もしているけれど、数年前に歌舞伎チャンネルで観たこの劇(やっぱり蛇足の芝居でした)もまた、天皇を主題としたものだとは思えない。
 菅原道真と天皇のむすびつきは渡辺保が『女形の運命』でつとに指摘していたと記憶するが、「私は天皇を少しも愛さない」と書いた(正確な引用ではない)渡辺氏は、この本をどのように批評するだろうか。



「菅原伝授手習鑑」精読??歌舞伎と天皇 (岩波現代文庫)
岩波書店
犬丸 治

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