映画随想「007ダイアナザーデイ」「ブラックダイヤモンド」

これも知人のHPに掲載したもの

韓国映画を超芸術の域にまで高めた「火山高」には、『魁!!男塾』の、南朝寺教体拳・天稟掌波とか、大豪院流・真空殲風衝を思い起こさせる拳法技がでてきて、俺達を大感激させたのだが、007最新作「ダイアナザーデイ」も、製作者たちは男塾を読んでたんじゃないか、なんて批評があって、たしかに、氷壁を線に沿って割るとことか、悪役が身につける特殊防御用スーツとかはそんなかんじだったけど、俺はさらに、吉田戦車の『伝染るんです』も参考にしたんじゃないかと考えたくて、まああの映画も途中からは完全に「ダイヤモンドは永遠に」の焼き直しで、北朝鮮とはなんのかんけいもないお話になっているだけでなく、冒頭から、俺達がふつうに思いだす「将軍様」やその息子とはまるでちがう人物がでてくるから、作中の将軍が、あの眼鏡とモジャモジャっとした髪の人物と同じ地位にあり、作中の悪役たる息子が、あの偽造旅券で遊園地を訪なう大江健三郎の息子似の人物に相当するとは考えもしなかった。さすがにさいしょのホバークラフトでの追跡場面と、後半の氷原での改造車対決なぞはすごかったけど、その他の活劇場面は特撮臭くてまるでダメ。まんぞくできるアクション映画はないのか、とさがすと、ジェットリー主演「ブラックダイヤモンド」はヒップホップカンフー物の三作目というのだそうで、一作目「ロミオマストダイ」(リュックベッソン案の「トランスポーター」はこれのパクリか)はまあまあ、二作目「電撃」はセガール主演作では「暴走特急」につぐ傑作、で、今作もまたかなり優れた映画に仕上がっている。なにより俺を感動の渦に巻き込んだのは金網の闘技場だったよ。なんとそこではティトとリデルが殴りあってて、試合に出場する羽目になったリーと闘うのはUFC元重量級王者にして、のちリデルとティトを撃破して軽重量級王者に輝いたランデイクートア。現役格闘家を前にしたジェットリーの小ささに驚くもつかのま、百戦錬磨のクートアはなぜかテレホンパンチを空振りさせてスッ転ぶ―― おもえば格闘技ブームの火付け役UFC大会を93年に仕組んだのはホリオングレイシーで、そのホリオンは87年の映画「リーサルウエポン」で武術指導を務めてることは格闘技愛好者ならいまではもう周知の事実だろう。ジェットリーこと李連傑は91年に徐克と組んで香港映画の超芸術「ワンスアポンナタイムインチャイナ」に主演する。この映画と、98年にリーが悪役を務めた「リーサルウエポン4」はまったくうらがえしの内容だった。98年当時、(すくなくとも日本では)格闘技界最強とおもわれてたグレイシー柔術と、映画の中では最強だった中国拳法が闘ったら、どんな結末を迎えるのか、というのがこの映画の楽しみ方でなければならないのだけど、すでにどうにもならないくらいアチャラカ芝居と化していたこのシリーズ最終作(たぶん)は、まったくぬるぬるの格闘場面でお茶を濁していた(こうしてみるとセガールやバンダムの格闘場面はかなり綿密に構成されているものだ)。「ブラックダイヤモンド」に戻ると、金網での格闘はかなり漫画的だったけど、最終場面にはリーVSマークダカスコスだけでなく、三つの格闘を同時に楽しめて、火と水にとりまかれての闘いは、「ダイアナザーデイ」の狭い飛行機内での闘いよかずっと迫力に満ちていて、ほかにも建物の屋上から物干しづたいに飛び降りたり、自動二輪をつかっての追っかけなど、肉体を駆使した活劇の魅力を充分すぎるほどに堪能させ、ジャッキーチェンの「ラッシュアワー」よかずっとおもろい、ジェットリーの超芸術なのでありました。

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