正義十六雑穀

新聞に立川談志が「百年に一人の天才」と評された、とあって、疑問に思う。そんな批評をするからにはここ百年にわたる落語を聞いてなきゃいけないし、その他の話芸諸芸にも通じてなきゃいけないだろう。談志が四代目円喬や三代目小さん以上の名人だとでもいうのだろうか。談志なぞせいぜい異才どまりで、断じて天才ではないだろう。先代三平のように天の災いというんなら納得できるが。

先月は引越し、今月は雨と金欠のせいもあって、存分に芸術にも親しめなかった。いまは新しい評論の構想がまとまるまで、せっせと本を乱読するしかない。

鈴木光太郎『オオカミ少女はいなかった』を読む。表題文だけ以前本屋で立ち読みして、面白かったのだけど、全編通じて読み応えあり。
学問研究の中にもそうとうな思い込みがからみついていて、実証的データにまざりこみ、すんなり受け入れられてしまう。そうした思い込みを洗い直す作業。
すこしだけだが、爆弾魔ユナボマーことテッド・カシジンスキーがでてくる。この人の破壊行動に横たわる思想には興味があって、調べてみようと思っていたが、いつのまにか忘れていたのだ。
で、ユナボマーをとりあげている越智道雄『アメリカ合衆国の異端児たち』も読んでみる。この本もかなり面白かった。現代アメリカの奇人たちの短い評伝。もうちょっと事細かに描いてほしかった。
どの章も興味深いのだが、ことに世論形成に狂奔した富豪と二重スパイとには驚かされる。異常な陰謀が渦巻いているのだ。
国民に嫌われつつ権力を奪取したニクソンの政治人生をみると、現在の安倍某とやらの狂気も同質と理解できるだろう。この手の人物は、権力を握るためなら不正選挙だって平気で行えるのだ。日本の反体制文化人のあいつぐ死も、暗殺だった可能性はあるのではないか。
とにかく、アメリカ社会の深層をえぐった内容は、落合信彦なんぞよりはるかに面白い。越智道雄の本はもっと読んでみる価値がありそうだ。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック