星野仙一について私が知っている二三の事柄

新年最初の読書はフィリップロス「素晴らしいアメリカ野球」だった。冗長な部分は多いものの、終わりのほうはけっこう面白い。むかし小田実がテレビの討論番組で「フィリップロスっちゅうオッサンがこういう小説を書いとるんや」と話していたけど(ロスは小田より歳は一つ下だが)、出席者は誰も読んでなかったようで、完全にスルーされていた。小田実や村上春樹や高橋源一郎のような、アメリカ現代小説のマニアにしか理解できない面白さがあるのだろう。

 さて、星野仙一が亡くなったが、俺はこの人がなんでこんなに過大評価されてるのかわからない。星野は俺がプロ野球に熱中する前年に引退したので、選手としてはまったく知らない。あの歯に衣着せぬ物言いはNHKでは生かせないと江本孟紀が心配していたが、トーク番組での喋りはたしかに面白かった。週刊文春の連載では、当時球界最高額といわれた江夏豊の年俸が公表より一千万ほど少なかったと暴露し、その後取材に訪れた星野に江夏が「仙ちゃん、なんやあの記事」と文句を言うと、「俺はお前より年上だぞ」と一喝したという。
 それぐらい礼に厳しい人物だと思えば、監督時代は王監督に無礼な態度をとり、腹に据えかねた大村崑が「星野殴ってくださいよ」というと王さんは「いずれそのつもりでいます」と答えたという。
 ビートたけしが大学の後輩だと知るや「なんだお前」といきなり偉そうな態度をとったとも聞くし、現役時代はあらかじめ交代が決まってるときでもグローブを叩きつけて悔しがったと板東英二の本に書かれてた。
 ようするに自己演出が得意な人物だったのだろう。さらに立ち回るのが上手い。いつのまにか現役時代は人気も実績もはるかに格上だった田淵幸一・山本浩二を抑えて、センターポジションを得てしまった。
 くわえて体育会系の暴力気質。早い話俺は星野が嫌いだったのだ。反対に落合博満が好きなのは、意外に選手や後輩への思いやりを持っているからだ(ゆえに落合を放出した嘘つき有藤通世は大嫌いなのだ)。星野のほうがはるかに自己中心的なオレ流だったといえるのではないか。

 ほんとはボブサップのことを書こうと思っていたのだが、新年しょっぱなから正義を守ってしまった。やはり私には正義がよく似合う。

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