韓国の大芸術アクション映画「悪女」

一月の半ばに急遽本が出ることになって、バタバタしていて、更新が滞っていたのだけど、ついに私は、正義の世界に帰ってきた。やはり私には正義がよく似合う。満を持して悪との闘いに挑む私のポコチンは、いつにもまして臭い。

というわけで、なにかと大変だったのだが、一月のはじめにはインド映画「バーフバリ 王の凱旋」を観、衝撃。まさにマハーバーラタのような世界がみごとな映像によって描きだされている。内容もマハーバーラタをたくみに換骨奪胎したものらしい。面白すぎて二回見て、あわてて一作目の「伝説誕生」をDVD鑑賞。アクション場面は二作目に劣るが、はじめの、天女のような幻想の美女に導かれ絶壁を登ってゆく場面がじつに素晴らしく、大画面で観たかった。
あとDVDではパブスト監督の「西部戦線一九一八年」も。これも名作。休暇で帰省した兵士が妻の不倫に遭遇した後の夫婦の反応の描写が心に迫る。

そして二月には韓国映画「悪女/AKUJO」を。これもまた衝撃作。チョンビョンギル監督の映画は「殺人の告白」を観、サスペンスミステリーとしては傑作だったが、アクション場面はややふざけた感じであまりいいと思わなかった。しかし監督はもともとスタントマン出身で、アクションにこだわりがあるらしい。今作はまさに本格アクションの大芸術で、韓国映画史上最高、というより世界映画史に残る傑作といって過言ではない。
主観視点とか疑似ワンカットとよばれる技法を駆使して、摩訶不思議な世界を表現する。数台のカメラで撮影した場面をCG処理でつなぎあわせ、視点をありえない方向にすばやく移動させ、観る者をまるでジェットコースターに乗っているかのような生理的快楽へ導く。そのスピード感が凄い。
物語も過去と現在を織りあわせ、ふくざつに描きだす。話の筋がみえてくるまでのあいだがまたシュール。主人公が監禁された謎の施設の部屋から逃れ、別の部屋に入ると、そこはバレエの稽古場で、さらに抜けるとそこは料理教室で、別の扉を開けるとそこは劇場の舞台で女優がハムレットを演じている。あまりに不条理なのだが、それにも一応の理由がついているのだ。
「悪女」は映画の快楽を存分に味あわせてくれる怪作だ。表現技法の急激な進化に驚かされる。しかし目まぐるしいカメラの動きにこちらの視力がついてゆけず、見逃してしまう部分も多い。本当にワンカットで撮りあげた「トムヤムクン」のほうが見応えはあったように思う。このパターンがどこまで通用するかはわからないが、続編を作ってほしい。

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