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zoom RSS 「エミリー・ウングワレー展」と「アール・ブリュット/交差する魂」

<<   作成日時 : 2008/06/01 23:00   >>

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 すべてのもの、そう、すべてのもの、私のドリーミング、ベンシル・ヤム、トゲトカゲ、草の種、ドリームタイムの子犬、エミュー、エミューが好んで食べる草、緑豆、ヤムイモの種、これが私の描くもの、すべてのもの――エミリー・カーメ・ウングワレー

 国立新美術館で、エミリーウングワレー展をみる。オーストラリア先住民アボリジニのお婆さんの作品。
 アボリジニ美術というと、動物の内臓や骨格を描いたX線画が有名だ。本展をみたあとで、むかしNHK日曜美術館で彼らの作品世界が放送され、録画していたのを思い出し、みてみたのだが(司会が桜井洋子アナだった)、それによると、アボリジニ絵画は、樹皮画と点描画にわけられるそうで、エミリー婆さんの作品は後者にあたる。
 番組が放送されたのは彼女が亡くなった年なのだが、その創作風景も映されており、興味深かった。彼女にとって絵を描くとは、儀礼そのものなのだ。
 エミリーカーメウングワレーは先住民教育プログラムによりろうけつ染めを学び、やがて絵画に転じ、八年間に何千点もの作品を残したという。その作品は、先住民の砂絵や点描画の技法をつかい、独自の世界観を表している。
 筆先のひとつひとつによるこまかな粒子が、全体にまとまったとき、おもいもよらぬ美が生まれる。いまにも動きだし、増殖しそうな、カビやキノコにもにた無数の点。抽象絵画をみる悦びとは、一見無意味な画面から充溢する生命を感じとる悦びにほかならない。まさにいのちが誕生する、目もくらむような瞬間なのだ。
 これらの絵は写真でなくナマで、しかもすこし距離をとって遠くから見たほうが満喫できるだろう。
 さらに、ヤムイモ(カーメ)の根や地面のひびわれから生まれた線の絵もすばらしい。「ビッグ・ヤム・ドリーミング」という大作は圧倒的だ。ところどころ立体的にみえたりもする。
 インドのミティラー画やワーリー画、バリ絵画、ニューギニアのジャクパアコ、アマゾンのカマラメイナコの絵とひけをとらない、すばらしい作品だった。こんなのみると、もう西洋芸術なんて、どうでもよくなってしまうな。
 モジリアニよりアボリジニだ。

 松下電工汐留ミュージアムでは、アールブリュット/交差する魂、を。
 《真の他性はすぐ近くにいた。いや、ほぼ自分の家にいた》というわけで、先住民芸術・民族芸術に勝るとも劣らない世界が存在した。アールブリュット(生の芸術)、またはアウトサイダーアートとよばれる驚異の世界だ。山下清やヘンリーダーガーに代表されるような、いわゆる「社会」から疎外された人たちによる芸術(ジミー大西もそういう型の芸術家だろう)。
 スイスと日本が連携したこの展覧会では、西洋、日本、インドの「芸術家」ならざる芸術家のすばらしい作品が多数展示されている。
 そのむかし世田谷美術館で大大的に開かれたアウトサイダーアート展ではじめてこういう芸術を知り、衝撃を受けたのだけれど、そのときはアンリルソーや草間弥生といったわりと著名な人も紹介されていた。ほかにもシベリアで抑留され帰国後何十年かを経てとつぜん当時の思い出を絵に描きはじめた人とかもいて、すこぶる興味深かったものだ。
 驚くのは、技術を伝承されているわけでもない、さまざまな障害を持つ人たちの表徴が、先住民芸術とおなじ形象をみせているということ。澤田真一の陶芸は縄文土器のようだし、小幡正雄の絵は土偶にちかい。まさに人類の普遍的基層を浮かびあがらせているといっても過言ではない。芸術とは無意識の発動だ。個は無意識の回路を経て、普遍へと通じているのだ。
 俺もこうした普遍性に到達したいと、狂おしく願う。
 霊感を得て石を拾いあつめ公園を作りあげたインドのネックチャンドの営みは、フランスの郵便配達夫シュバルの宮殿とまるでおなじだ。やはりそこには共通する心性があるのかもしれない。

 このふたつの展覧会はこの時期、絶対のおすすめよん!
 かくして、今日も正義は、私によって守られた。

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2008/06/05 23:15

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
この本ご存知ですか?
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31929097
アールブリュットとは関係ないのですが、鬼気迫る絵の迫力に圧倒されます。
Polly
2009/01/18 15:22
知りませんでした。
普通の本屋でも売っているのでしょうか?
闘いうどん
2009/01/18 21:40

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