ミヒャエル・ゾーヴァとライアン・ラーキン

 とうとうミルコタイガーも引退か。今後は私がその遺志を勝手に引き継いで、豚高タイガーを襲名させていただきます。どうか豚高タイガーを御贔屓に。

 最近見つけた素敵なサイト。
http://web.archive.org/web/20050617123028/page.freett.com/sokagakkai_komei/www.editor-shop.co.jp/index.html

 またしても、真理を知ってしまった(やはり学問は大切だ)。柄谷狂人先生が卑小な自己顕示欲の亡者であることは間違いないようデス。
 それにしてもベーシックインカムが希望の原理のように語ってるポストモダン左派には違和感ありまくりの今日この頃。

 さて、横浜そごう美術館のミヒャエルゾーヴァ展はおもしろかった。
 ゾーバはドイッチュの画家。なんともいえずシュールな作風。動物達の絵がじつにすばらしい。囚人みたいに縞模様の服を着た家鴨とか、病院用の詰襟をした犬。愛らしい豚が道路を疾走したり、池に飛び込んだり、空を飛んだりしている。林家三平なら「あっ、ヘリコブター」と絶叫するに違いない。
 こまかに描かれた人間の表情もいい。お下品なところも魅力。彼が挿絵を描いた本がいくつか紹介されていて、翻訳もされているので、読みたくなった。
 ゾーバはひとつの絵を何度も何度も上塗りして、いつまでたっても完成できないことがあるらしい。私も文章を異常なまでに推敲するので、なんとなく心情が理解できる。

 渋谷のライズXでみたライアンラーキンのマンガ映画もおもしろかった。天才と讃えられ、アカデミー賞候補にもなったカナダのアニメーション作家ラーキンはわずか四本の作品しか残さず、二十代で制作をやめ、姿を消した。路上生活者となって小銭を恵んでもらっていたのだ。創作に行き詰ったとか、酒や薬に溺れたとかいわれているが、じっさいのところはわからない。
 彼が活躍したのは、六〇年代後半から七〇年代前半、アカデミー賞授賞式にはジーンズ姿で現われて周囲を驚かせたりしていたらしい。あるいはヒッピーにあこがれていたのだろうか。
 そんな生活を送っていた彼の作品が、ふたたび脚光を浴びる。CGアニメ作家クリスランドレスはライアンを取材し、映画を作る。これがアカデミー賞を取り、ライアンは世界の注目を集め、浮浪者生活を脱し、新たな創作に取組む。しかし完成前に他界。仲間達によって完成までこぎつけたという。
 こうした典型的な破滅型の孤高の芸術家の作品五本と、ランドレスの「ライアン」、それから短い記録映画の上映。「色彩幻想」のノーマンマクラレンの弟子らしく、自在に変容する形態の妙に魅せられる。まわりに靄をまといつかせながら、上着のポッケに手を突っ込んだひとりの男が、透明人間のように歩きつづける。砂絵か針絵のような、神話的世界(アレクセイエフ「禿山の一夜」を思わせる)。素朴な手法が、目に心地よい。
 CG作品「ライアン」も面白かった。不気味に変容された人物たちが、うごめき、語る。シュワンクマイエルに想いを捧げたクエイ兄弟のような感じだろうか。

 ゾーバもラーキンも、必見の芸術。ぜひご覧下さい。
 以上、豚高タイガーでした。

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