ザ・レイド GOKUDO(ネタバレあり)

さて高倉健が亡くなったけど、俺は健さんの映画をあまり観てない。任侠映画はもちろん、「幸福の黄色いハンカチ」も観たことない。
だから俺が思い出すのは「ザ・ヤクザ」というアメリカ映画なのだ。

なぜかというと、小学生の頃、家族と映画を見に行った。いつもは渋谷の東急文化会館で映画をみていたのだけど、この日は新宿ミラノ座で、「スティング」だったと記憶する。
このとき予告でかかっていたのが「ザ・ヤクザ」だったのだ。本編は眠ってしまったので、この予告だけが異常に記憶に焼きついてしまったようだ。
ヤクザ映画についてよく知らないので、この作品のどこがどうダメで評価されないのかはわからない。小林信彦が週刊文春で健さん追悼がてらこの映画についてふれているのを読んでちょっと嬉しい思いがした。

そのミラノ座が今年いっぱいで閉館するという。コマ劇場がなくなってからの歌舞伎町のさびれぐあいと映画館の衰退を見ると致し方ないのだろう。

待ちに待ったインドネシアの超絶アクション「ザ・レイド」の続編が、かつて新宿東急といったシネマミラノ2で公開されているので、泣きながら観た。
すばらしい…
前作を上まわる衝撃。

前作「ザ・レイド」感想はこちら
http://oudon.at.webry.info/201210/article_5.html

以下ネタバレ内容紹介

前作で生き残った人達も冒頭で早早にあっさり殺されてしまう。
麻薬組織のアジトから脱出した主人公の警官ラマは、兄アンディの紹介した警察内の汚職捜査班に接触し、庇護を求めるが、逆に犯罪組織への潜入捜査を依頼される。いったんは断るが、新たにボスの座についたはずのアンディが殺されたことを知り、首謀者である裏社会の新興勢力を仕切る男、ブジョへの復讐のため、捜査に協力することになる。刑務所に入り、そこに収監されている犯罪組織最大派閥の長であるバングンの息子ウチョに近づく。彼の命を救い、信頼を得たラマは、二年間の刑務所暮らしを経てバングンの手下となって働きはじめる。バングンは日本人率いる暴力組織、後藤組と協定を結んでいるが、ブジョはひそかに両者を壊滅させ、乗っ取ろうと謀っている。
ここで旧組織のバングンが、アンディを処刑し敵対するブジョにまるで注意を払っていないのが気にかかるけれど、きわめて単純な設定で最大限の効果をみせた前作から、複雑な人間関係で物語に深みをあたえている。「インファナルアフェア」や「アウトレイジ」などの影響もみえながら、それらを超える見せ場を繰り出してゆく。いきなりはじめられる個室便所での一対複数の格闘、泥の中の格闘はすさまじい迫力で、やりすぎではないかと思われるほどの残酷描写をまじえ、戦慄を引き起こす。
前作で凄腕の強敵マッドドッグを演じたシラットの達人ヤヤン・ルヒアンは意外な役柄で再登場。新たな強敵を演じるセセフ・アリフ・ラーマンもシラットの達人らしく、試武のような型からはじまるラマとの一騎打ちは美しささえ感じさせる。ほかにも不気味な恐ろしい殺し屋がふたり現れる。

日本題の「GOKUDO」というのはやや先走りすぎたようで、ヤクザとの抗争は描かれない。予告映像には北村一輝がエスカレーターで拳銃を発射する場面があったけれど、本編では削除されていた。監督はすでに三作目の構想を練っており、そこでは日本人がふたたび登場すると思われる。
そこで思い出したのだが、外国映画で日本人と中国人との抗争が描かれると、たいがい日本人のほうが残虐で強いことになっているのが俺には疑問だった。現実には中国マフィアのほうがはるかに非道で恐ろしいのではないか。
けれども、高倉健を代表とするヤクザ映画の型の美学こそが海外の映画人にとっては重要だったのかもしれない。京劇風の中華活劇ではしっくりこないのだろう。「てっぱん」の遠藤憲一や「あまちゃん」の松田龍平が、三作目であるいはむごたらしく殺されるのかと想像すると心が痛む。

おもえば、ジャッキーチェンの「ポリスストーリー」以降、香港映画はハリウッドを超えた。そして「マッハ!」以降、タイ映画は香港を超えた。「ザ・レイド」以降、インドネシア映画はタイを超えるのだろうか。イコ・ウワイスとトニー・ジャーの競演とかぜひ観てみたい。北野武やタランティーノは、こんな超芸術のあと、なお監督業をつづけることができるのだろうか。

かくして、今日も正義は、シラットによって守られた。

追記:ディレクターズカット観てきた。15禁から18禁になっただけあって、最初の公開版にくらべて残酷描写がやたら多くなっているけど、三日月型の小刀での格闘場面はかなり長くて、見応えあり。


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  • 本気のシラット、再び

    Excerpt: 映画「ザ・レイド GOKUDO」を鑑賞しました。 試写会にて見ました マフィアへの潜入捜査を命じられ、警官ラマは刑務所に入りマフィアのボスを父に持つウチョの信頼を持て組織のメンバーとなる だが、父.. Weblog: 笑う社会人の生活 racked: 2015-03-14 22:26