インド映画「チェイス!」

今年はそれほど映画を観なかったので、やっぱり「ザ・レイドGOKUDO」が最高傑作でした。でもちょっと、というか、あまりにも残酷描写が多すぎるのも問題。監督はアクションよりグロ場面のほうに興味があるのだと思ってしまう。

インドのアクション映画「チェイス!」をみる。

冒頭は1990年のシカゴ、インド人のサーカス団長は、自慢の息子を使った大魔術を演し物にして、新たな興行を見せようと試みるが、大銀行からの融資を断られ、絶望し、息子の目の前で自殺してしまう。

二十五年が経ち、例の銀行の支店が立て続けに襲われる。神出鬼没の犯人は、金庫室を爆破し、大金を街に撒き散らし、警察の追跡をふりきって自動二輪で逃走し、姿を消してしまう。現場には道化の印と、ヒンズー語による復讐の言葉が残されている。事件解決のため、インドの敏腕捜査官ジャイと相棒で軟派なアリがシカゴへやってくる。ジャイは狡猾な犯人をおびきだそうと罠を張る。
犯人はいうまでもなく自殺した団長の息子サーヒル(アーミル・カーン)なのだが、新たなサーカス団を旗揚げし、公演を控えた彼は、裏をかいてジャイに接近する。みたび銀行が襲われ、ジャイとアリの必死の追跡にもかかわらず、強盗はまんまと逃げおおせる。

と、ここまでは凄く面白い。

バイクアクションはなかなかの出来栄えだし、サーヒルがタップを踏みながら踊る出だしは、インド映画よりもブロードウエイ風ミュージカルを意識しているようにみえる。

アーミル・カーンの盗賊が主人公のようだけど、じつはこれ刑事ジャイを主役にしたシリーズの三作目にあたるらしい。しかしアーミル・カーンの肉体はすごい。「ザ・レイド」のイコ・ウワイス(ぽっちゃり体型)よりはるかに逞しい。しかもアーミル・カーンはもう五十歳近い年齢だと知りさらに驚愕。容貌はMrビーン似なのだが。

1990年というと、日本ではまだシルクドソレイユも紹介されておらず、フランス系の新サーカスも知られていなかったころだろう。シカゴも同じ状況だったかはわからない。旧来の猛獣や美女や道化でない、インド大魔術は新しいサーカスに近いものだったのかもしれない。サーヒル率いるサーカス団も舞台芸術的なつくられかたをしているように思える。

半ばあたりで盗賊の逃亡に関する重大なトリックが明かされるんだけども、それが驚くほどのものではないのはまだいいとして、そっからさきの、美女との恋愛や、刑事と盗賊の友情といった展開がなんとも中途半端に終わってしまっているのだ。これなら「闇の帝王DON」のほうがよく練られた物語だった。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック