三代目小さんのレコード

金澤裕之・矢島正浩編『SP盤落語レコードがひらく近代日本語研究』という本を見つけて、読んでいた。面白い指摘がいくつかあって、興味深い。三代目柳家小さんは、近代語を最も用いていた噺家で、三代目馬楽はあまり新進の語に興味を持たないという(小野正弘論文)。けれどこれは、両者の吹込み数に圧倒的な差があることを考慮すべきだろう。馬楽「長屋の花見」には自治自由の権という言葉があったからだ。

てなわけで、ふと思い立って、、神田の古書店街を訪れた。ほんとなら古本祭りが行われるはずだったのだが、中止になってしまったのだ。富士レコード社で落語のSP盤をみていたら、三代目小さんの出張録音盤があった。
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米国コロムビアの「高砂や」「ひやかし道楽」で、これは買っておかねば、と購入。もう一枚あったのだが、帰って前掲書をみると、この時代の出張レコード入手は困難だ、とあり、やはり買っておけばよかった、とムラムラしてきて、けっきょく翌日も足を運び、独逸ライロフォン社の「嘘つき」を手に入れる。

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珍品のはずなのに、目玉が飛び出るような値段でもなかったので、ひょっとするとあとになって再プレスされたものなんじゃないかと疑う。聴いてみたが、雑音がすごくて何を言ってるかほとんど聞き取れなかったし、「高砂や」は途中で切れていた。
三代目小さんは昭和の初めまで生きていたので、レコードは当時の落語家の中でも群を抜いて残されている。80年代初頭に読んだ本にはたしか八十種ぐらいは吹き込んでいるとあったはずで、その後も日本最初の出張録音盤が発見されているのだが、復刻盤で聴けるのはそれほど多くない。大正期の音のいいものや、二枚組レコードもあるので、CD復刻版三代目小さん全集など制作してほしいものではないか。

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こちらは同じ建物にあるよく行く骨董屋さんで買ったマヤの土偶。

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