令和二年 闘いの総括

今年もわずかとなった。コロナのお蔭で家に引きこもることが多く、極度の人間嫌いの私に不自由はなかったのだが、思うように芸術に親しめなかったのが悲しい。
四月から二ヶ月間は電車もバスも乗らなかった。六月初めにバスに乗った時、満員で隣の席に客が座っただけで恐怖を感じ、浅い呼吸で酸欠状態に陥ったほどだが、最近は気にならなくなった。もっとも現在のほうが感染者は増えているのだが。

しかしまあ、本業では去年父親が死んだお蔭で放漫経営を全面的に見直し、設備投資に金はかかったが、かなりの増収に成功した。やっぱり俺は現実的な人間だなあ、と自分で自分を褒めたたえる。私は父親に憎悪どころか殺意さえ抱いていたので、死んだときは喜びしかなかったのだが、数十年におよぶあまりに出鱈目な事業ぶりは年内に清算しきれず、結局いまだに苦しめられている。

本年は古代ユダヤ教関連の本ばかり読んでいて、なんとか新しい評論の構想はまとまりつつあるけど、原稿は一文字も書けなかった。来年は心を入れ替えて第一部は完成させたい。
ふだん新刊書を買って読むことはほとんどないのだが、コロナで図書館がしばらく休みだったこともあり、いくらか買って読んだ。
レザーアスランや北沢方邦の新著、あるいは斎藤幸平の本などは学ぶところが多かった。しかしなんといっても最大の収穫は(十年近く前の本だが)増田俊也『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』だった。これほど読み応えのある本は滅多にあるものではない。

演劇は落語会に一度足を運んだのを除けば0。これはおそらくここ三十年ではじめてだろう。そのかわりネット動画などはいろいろと観た。
展覧会もほとんど行けなかった。文化村美術館のホキ美術館所蔵写実絵画展が最も印象に残る。
映画は007もワイルドスピードも公開延期になってしまったので、芦田愛菜主演「星の子」ぐらいしか観てない。今年初めには国立映画アーカイブでドキュメンタリー数本を観、「山谷 やられたらやりかえせ」をはじめて観た。これ、学生時分によく上映チラシを見かけたのだが、やっと実見できた。異様な迫力に満ちているが、状況説明がまったくないのが残念。あとノルエイ映画「サイコビッチ」は、猟奇的な題名とはウラハラな爽やかな佳品。DVDは出てないようだ。

かくして、今年も正義は、私によって守られた。

この記事へのコメント